保健室に着き、ドアを開ける。
「先生ー?
あれ、いない。」
私も中に入って見回す。
「保健の先生居ない見たいですね。」
「うん。そうみたい。
もしかしたら帰られたのかも。
今日の鍵当番私だったし。」
「あー、
じゃあちゃちゃっと速水先生に、
応急処置してもらっていいですか?」
「よし!任せなさい!
さ、ここに座って。」
椅子に勧められ座る。
「あぁぁ、これは痛い。」
そう言いながら、
速水先生はテキパキと処置していく。
先生の言う通り見た目がグロい。
手の甲の一部が紫に変わっていて、
それ以外も赤くなっている。
それに加えちょっと切れていて、
血が出ている。
うん。見た目がいかにも痛そう。
そんなことを思っていると、
応急処置は終わったようだ。
「早いですね。
ありがとうござました。」
「ううん。ごめんね。
私が引っ張ったから。」
「まぁ、そうですけど。」
「うっ、」
「でも、
心配してくれたし、
処置もしてくれたじゃないですか。
…私はちょっと嬉しかっですよ。」
最後は照れくさくて笑って誤魔化した。
「原さん、ありがとう。
私、
遅くなっちゃったから、
車で送ろうとしてたの。
なんなら今日は救急車呼ぶ?」
「そんな、飲みに行く?
みたいなテンションで言わないでくださいよw
救急車は要らないですからw」
「そう?
私、割と本気だったんだけど。」
真顔で言う先生。
「先生は心配し過ぎですって。
私より自分を心配してくださいよ。
今は痛くなくても、
だんだん痛くなるってこともあるんですから。」
「うっ、
そうね。
気をつける。ありがとう。」
この日は先生に送って帰ってもらった。
家に帰ったら、
速水先生と同じくらい、
心配するお母さんがいたのは言うまでもない。