棚からぼたもち状態になってちょっと浮かれる私を、苦笑いで見る先生。

…え、あの。なんかごめんなさい。そんな目で見ないで。

逃げるように氷室くんを見ると、氷室くんは、いつもの無表情だった。


「…わかったからもうお前ら帰れ」

「あ、はい。じゃあ行こっか、氷室くん」

「…そうだね」


無事にノートを届け終え、職員室を後にした私たち。


「氷室くん、庇おうとしてくれてありがとね」

「…別に。それに、本当はもっと早く来てたのに、友達の課題見てたからでしょ、ギリギリになったの」

「…見られてたんだ」

「たまたま」

「氷室くんって、素っ気なく見えるけど、かなり優しいよね」

「…別に」


さっきと同じ返事だったけど、ピアス付きのその耳はほんのり赤い。

うぅ、可愛い。これがギャップというやつか。


「氷室くん、」

「…なんですか」

「私、氷室くんと仲良くなりたいな」

「そう」

「ってことで、友達になってくれませんか」