「まあ、それは水に流してあげるけど、....大丈夫なの?」

「何が?」

「彼女いたら、まずいんじゃない?」

もし彼に彼女がいるならば、大変なことになるだろう。
いくら何もしていないとはいえ、一夜ずっと同じ部屋に、同じベッドにいたのだから。

「いねーよ。彼女は」

「.....ふーん」

でも彼はきっと、この先いい人を見つけて、幸せになるのだろう。

それに比べて私は、結局告白できないまま失恋した。

本当に情けない。

.....いや、しなくてよかったのかもしれない。あの二人の結婚は何年も前から決まっているのだ。

......違う。それも逃げだ。

昨日の出来事を思い出し、さらに胸が痛くなる。

「.....美佐。なんかあった?」