「オレら、愛羅ちゃんのこと好きな人集めて、で、愛羅ちゃんに変なこと言う人がいたらオレらが代わりに言い返して、本人の耳には入らないようにしてる。愛羅ちゃんは結構シャイな女の子だからあまり話しかけないように____こいつは例外な____、遠くから眺める程度にしてるんだ」

「…………あまり話しかけないようにしてるのは愛羅に対して賢明だね」

 その和寛の言葉に一瞬目の前の二人の瞳の色が変わったように感じられた。
 和寛は気づかなかった振りをして、片手を上げ、得意気な笑みでもって続けた。

「でも、愛羅が女子達からやっかまれる原因を作っているのは君らなんじゃないの?僕は途中から来たから分かんないけど、愛羅に話しかけられないからって君らが集まりだしてから女子がやっかみはじめたんじゃない?違う?」

 眼前の二人は苛ついているような表情で押し黙る。

「男子の大多数が愛羅の方へ流れてるっていうのは、君らが集まったからその全員が愛羅のことが好きだって目に見えて分かっただけの話でしょ。君らがずっとその気持ちを胸に秘めるか、こっそり伝えて昇華するかして個人個人で片付けていれば、女子たちの耳に君らの愛羅への好意はバレなかったわけだ。それがバレているから、愛羅が女子たちにやっかまれる羽目になった」

 二人はぐうの音も出ず悔しそうに和寛を睨んでくる。
 和寛は、精一杯大げさに作った不敵な笑みでもって、爆弾を落としにかかった。

「……愛羅と僕が同じ中学出身なのは、最低何処かで小耳にでも挟んでるんじゃない?もう三年くらいの付き合いだよ。もちろん、夏哉たちが知らないような愛羅だって、結構知ってる。もうここだから言っちゃうけど、愛羅はあげないから」

「…………………………お、お前、何言って…………!」

「何言って、って?僕は僕なりに普通のことを言ってるつもりだけど。君たちは精々半年くらいの想いなんだろうけど、僕は、そうだね、三年間か。もう譲るわけにもいかない。愛羅だって僕に心開いてくれてるし、もうこのままいくつもりだから。変にくっつかないでくれるかな?」