そう言って笑うその子は、かけるが毎日画面越しに見ている子だった。かけるは、この子がコスプレなどではないと何となくわかる。

「……沖縄ちゃん……?」

美少女都道府県の沖縄ちゃんと目の前の子は瓜二つ。いや、画面の中から飛び出してきたようだ。コスプレにしては声や仕草、何もかもがそっくりすぎる。

「あれ?君、あたしのこと知ってるの?嬉しい〜!ご主人様にも報告しなくちゃね〜!」

その時、アクセサリーショップの扉がゆっくりと開いた。

「沖縄ちゃん!おまたせ〜!」

ゆっくりとした動作で、もこもこのコートとマフラーに身をつ包んだ女の子が言う。今は九月。そんな格好をしていられないはずだが、その子は平気そうだ。その子にも見覚えがある。

「北海道ちゃん?」

そうかけるが言うと、北海道ちゃんは「あら、知っていてくれる人がいて嬉しいです!」と笑う。

このリアルに出てきた都道府県は何だ、とかけるが興奮していると、「えっ!?」と後ろから驚く声が聞こえた。

そこにいたのはーーークラス一のリア充・三井修也だった。



あの後、かけるは修也に何も言わずに腕を掴まれ、修也の家へと連れていかれた。

「えっ?ちょっ、何!?」

パニックになるかけるに、北海道ちゃんが「しい〜」とかけるの口に指を当てる。

え、リアルで女の子が俺に触れてる!とかけるが嬉しくなったのは言うまでもない。

「大丈夫よ〜。変なことはしないと思うから〜」

沖縄ちゃんが修也の腕に自分の腕を絡ませながら言った。