「何よアンタ!!」

その大声に驚きかけるが声のした方を見ると、クラスで美少女ランキング上位に入る二人が一人の男子を巡って喧嘩になっている最中だった。

「またアイツだぜ…」

友達がうんざりしたように言う。その男子を巡っての喧嘩はしょっ中起こっているからだ。

三井修也(みついしゅうや)、お金持ちのお坊ちゃんで、親が建ててくれた家で一人暮らしをしているらしい。イケメンでスポーツも勉強も得意。女子がいつも周りに群がっていて、非リアの代表とも言えるかけるは修也が腹ただしい。

修也は少し前まで、学校一の美少女と付き合っていたのだが別れた。フリーの身となった修也を女子たちはみんな狙っているのだ。

「修也は私と買い物に行くんだから!」

「違うわよ!私と遊園地に行くのよ!」

二人の女子が、今にも取っ組み合いを始めそうな雰囲気を出している。そんな中、修也は「まあまあ落ち着いて」と王子様スマイルを二人に向けた。

「僕も遊びに行きたいんだけど、日曜日は塾なんだ。ごめんね」

そう申し訳なさそうに言うと、女子二人は「ならしょうがないわね」と喧嘩をやめ、修也と仲良く話し出した。

「すげえよな。いつも女の子に囲まれてさ〜」

かけるがそう言うと、友達が「おいおい、現実なんて忘れようぜ?」とゲームの画面を突き出す。

「俺たちは、二次元ではモテモテの王子様だ。現実の女子なんて、この子たちより冷たいんだ」