「本田マイケルに、秋田ちゃんが誘拐されたんだ!」

「はあっ!?」

都道府県たちではなく、かけるが大声で驚いた。

本田マイケルという名前だが、マイケルはれっきとした日本人。ハーフでもクォーターでもない。

キラキラネームというやつだ。

マイケルはかけるの隣のクラスで、友達に囲まれて男子たちが普通に楽しむバトルもののゲームをしているのをよく見かける。美少女都道府県をしている姿を、かけるは一度も見たことがないのだが…。

「明日、マイケルと秋田ちゃんを掛けて勝負をすることになったんだ!みんな、協力お願いします!」

とても真面目な表情で修也は言う。お気に入りの都道府県が誘拐されてしまったからだろう。

かけるは三重ちゃんをちらりと見る。もしも、三重ちゃんが誘拐されたら…考えるだけで恐ろしい。

「協力するよ!」

「協力します!ご主人様!」

かけると都道府県たちは、同時に言った。



次の日の夕方、かけるたちは街外れの廃工場にいた。ここで勝負をするのだ。

「来たか…」

金髪……ではなく黒髪の、碧眼……ではなく細い黒目の、イケメン……ではなくどこにでもいる普通の顔の男子、マイケルがそう言いながらかけるたちの方を振り向く。

「ご主人様!!」

マイケルのそばには椅子が置かれ、そこに秋田ちゃんが縛り付けられている。

「秋田ちゃん!すぐに助けるからね!」

まるで、魔物に囚われた姫を助けに来た王子のように修也は微笑む。眩しいほどイケメンだ。頰を赤く染める秋田ちゃんを見て、マイケルが悔しげな表情になる。

「あの!質問!!」

かけるは手をあげ、マイケルに質問をぶつけた。