三重ちゃん、かける、修也、秋田ちゃんの四人は一時間ほど電車に揺られ、遊園地へと到着した。

デートスポットとして知られている遊園地のため、カップルの数も多い。

「賑やかですね」

三重ちゃんが笑う。かけるは顔を真っ赤にしながら、ふっくらとした手を差し出す。

「人、多いし…。離れないように…」

小さな声だったが、三重ちゃんは「わかりました」と微笑んで手を握る。

大好きなキャラクターと手をつないでいる!

かけるは興奮し、胸はドキドキしっぱなしだ。

「早く!置いてくよ〜」

そう言って前を歩く修也は、秋田ちゃんの腰に手を回している。

「待って!」

かけるはしっかり三重ちゃんと手をつないだまま、遊園地を巡った。

それは、とても楽しいデートだった。写真を撮って、アトラクションを楽しんで、ご飯を食べる…。夢のような時間だ。

かけるたちは、気づいていなかった。魔の手がゆっくりと迫っていることに…。



都道府県たちに会うために、かけるが修也の家に入り浸るようになって早三週間。

美少女都道府県のファンは、このことを知ったら修也の家に殺到するだろう。現に、かけるは今、新潟ちゃんと鹿児島ちゃんと一緒に勉強をしているのだから。

「かけるは化学ダメなの?」

化学の問題を解きながら唸るかけるに、新潟ちゃんが苦笑する。