女の子たちは、肩を落として修也の周りから立ち去っていく。

「勝手に期待しといてなんだよ〜…」

そうかけるが呟くと、三重ちゃんが「おはようございます。今日は楽しみましょうね!」とモヤモヤした気持ちを一瞬にして吹き飛ばす笑顔を向けた。

「うん!」

かけるは大きく頷き、切符を買った。

「今日はどこに行くの?」

かけるが電車に揺られながら訊ねると、修也が「ここさ!」とパンフレットを見せる。

そこは、リア充たちの間では知らないものはいないと言われる有名なデートスポットだった。

「インスタ映えする食べ物とか、場所とかたくさんあって、デートにはほんとにおススメだよ!まあ行くのは初めてなんだけど…」

修也はそう言いながら、隣に座る秋田ちゃんの肩を抱く。美男美女、とても絵になるワンシーンだ。

「秋田ちゃん、今日は君を全力で楽しませるからね…」

世の女性が言われたら、絶対に恋に落ちるであろう表情と仕草。秋田ちゃんも頰を赤らめる。

「……私は、ご主人様といられるだけで幸せです……」

「ああ〜!もう!!かっわいいな〜!!」

修也は秋田ちゃんに抱きつく。かけるは、見て見ぬ振りをしながら三重ちゃんとそんなことができたらいいなと思った。