その条件を、かけるが飲まないわけがない。

「マジっすか!ありがとうございます!!」

リアルで都道府県ちゃんたちに出会えたのは、本当にラッキーなことだろう。かけるは修也の手を握りしめる。

「そうだ!日曜日にさ、お互いのお気に入りの都道府県を連れてダブルデートしようよ〜」

「えっ?でも、その日三井くん塾じゃ…」

「あんなの嘘に決まってるじゃん!秋田ちゃんとデートするって約束なの!!」

修也は小悪魔のように微笑んだ。



秋田ちゃんは、美少女都道府県の中で一番美人なんじゃないかと囁かれる子で、秋田ちゃんのファンも多い。

秋田ちゃんは、神話に登場する姫神のような衣装を着ている。そしてとても上品だ。

日曜日、かけるは朝起きた瞬間から胸の高鳴りが止まらなかった。ゲームの中の女の子とだが、現実世界でデートできるからだ。非リアなかけるにとって、これほど嬉しいことはない。

「斎藤くん!こっちこっち!」

混雑する駅では、修也が現実の女の子に囲まれている。それを秋田ちゃんと三重ちゃんが止めようとしていた。

クソ、羨ましい…。

そんなことを思いながら、かけるは「お待たせ〜」と手を振る。修也を取り囲む女の子たちが、イケメンがもう一人来たと言いたげな目で振り返った。

「えっ…。ただのデブじゃん…」

「ええ〜!がっかり〜!」