「ほい」

「ありがとう!」


ソフトクリーム売り場のすぐ側にあるベンチに私を座らせて、1人でソフトクリームを買って戻ってきた弥一。


ここで「お金……」なんて言うのは、さすがにあざと過ぎるから、素直にお礼だけ言って受け取ることにする。

私は結局、ミルク。
弥一はちゃっかり、チョコだった。


「どう?やっぱりミルクで正解?」

「んー、安定の美味しさですね」


程よく甘くて、口いっぱいに広がる濃いミルク。
ひと口食べるたびに口の中は幸せに溢れる。


だけど、チョコにはチョコの魅力があるから

どっちが1番なんてのは決められない。



「ん、」

「え?」

「食わねぇの?チョコも食いたかったんだろ?」


突然、目の前に差し出された弥一のソフトクリームにゴクリと唾を飲む。

まさか、この歳にもなって間接キスをこんなに躊躇うとは思ってなかった。


もちろん、嫌とかじゃなくて。
幼なじみになりきれない私が、変に意識しすぎてるだけのことなんだけど。


わかってはいても、心は追いついてくれない。