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見渡す限り文化祭一色。
夏祭りと題して行われる我が校の文化祭は、毎年朝からたくさんの人で賑わう。
そんな中、私は教室の窓から青空に白い雲がふわふわ流れていくのを見ながらため息にも近い息を吐いた。
「暗い顔してると幸せ逃げるよ、芽唯」
”せっかく今日はうんっと可愛いんだから”
そう言って、メイド服姿の私に目配せする萌菜は、隣でブリブリのメイド服を無駄に着こなしている。
そりゃ萌菜並にスタイルも良けりゃ、もっと自信もついただろうけどさ。
萌菜のご自慢のDカップが今日もご機嫌に揺れている。私なんて、小皿で隠せそうなくらいの膨らみしかないってのに。
……アーメン。
「そりゃ暗い顔にもなるよ」
あの日、弥一が私のクラスで公開告白のようなことをやらかしてくれたせいで、
私は一躍ときの人となった。
おまけに、最後の最後で『弥一なんか、もう好きじゃない』なんて言ってしまったせいで
完全に墓穴を掘ったのも言うまでもない。
みんなから、弥一との関係を根掘り葉掘り聞かれたり、廊下を歩くだけでヒソヒソ噂話をされる。