そんな私の手を捕まえて、ギュッと強く繋いだ佐倉は


「……なら俺は、もしコイツとの縁が切れたら探して結びに行く。しつこいくらい、何度だって結び直してやる」


そう弥一に告げて、今度は私を引っ張るように生徒玄関へと歩き出す。



今、弥一がどんな顔してるのか、背中を向けているから見えなかった。


今、佐倉がどんな顔をしてるのか、それも、背中を追いかけているから見えない。


分かるのは、佐倉が怒ってるってことと


多分それが、私のためだってこと。



「佐倉……!ねぇ、佐倉?」



生徒玄関に入って、下駄箱の前。
私の呼びかけに、佐倉がやっと振り向いた。


その顔は、やっぱり不機嫌。



「なんで、あんな嘘ついたの?"俺の"って……」


そんなことしたら、私と弥一の問題に佐倉まで巻き込んでしまう気がして怖い。


「ムカつく……」

「え?」

「すぐ調子いい言葉に流されんなよ!」


感情的になる佐倉なんて、今まで知らなかった。
悔しそうに歪められた顔から、怒りと悔しさを感じる。


「……なんで、佐倉がそんなに怒ってくれんの?私のことなのに」


優しすぎるよ、佐倉は。