『ああ、死にたい。』そう呟く18時37分

井狭岳さんから脅されました。



どうやら同僚評価というものがあるらしいです。


らしい、というのは私のいた期間には実施されなかったからです。

世匙訳さんの評価を上げて正社員に推薦するというのも、同僚評価を意図的に良くしてということみたいです。


井狭岳さんの言うことを聞いて、
井狭岳さんの真似をして、
井狭岳さんに気に入られないと評価されないのです。


何故なら、

評価を判断する疫禅士さんは井狭岳さんを盲信していますし、

評価が高い世匙訳さんは井狭岳さんを持ち上げているからです。



因みに、私が辞める少し前の人事異動の連絡で、
井狭岳さんはランクが上がり、世匙訳さんは正社員になっていました。


凄いですよね。

気に入られれば何でもアリです。




自分の好き嫌いで評価するなんて私には出来ない、考えもしないことなんですけどね。


この会社では、それが井狭岳さんの言う常識で普通のことなのでしょう。
台風がきて計画運休や運休になる可能性があるとなった時、井狭岳さんに驚かれながら言われました。



疫禅士さんからは、自己判断してね。と言われ、会社では安全を考えてくれないと判断したのでキリの良いところで帰ろうとしたまでです。


もちろん仕事は溜まりますが、安全には変えられませんからね。




疫禅士さんは、自転車圏内で帰ってもすることがないとのことで、仕事をするそうです。


井狭岳さんは、通勤に使っている電車が一部区間が地上を走っている為、帰ります。


世匙訳さんは、帰ってもいいですか?の一言で、疫禅士さんと井狭岳さんがいいよ。と言ったので、帰ります。



そして、私も地下ですが電車通勤ですので、鉄道会社のホームページに記載されている通りに運休になる可能性があるのです。




しかし、井狭岳さんは私が帰るのはあり得ないのです。


私は帰らず、

自分の仕事+井狭岳さんの仕事+世匙訳さんの仕事+疫禅士さんの仕事の手伝い

をするというのが、井狭岳さんの頭の中ではなっていたようですね。
1章でふれた疫禅士さんと問伝さんに呼び出されて、承諾させられた出来事ですね。


そもそも正社員の仕事とか、準社員の仕事とかあったってことが判明したのもこの時です。



確かに私は穫豎堰さんではないので、穫豎堰さんのようには出来ません。


スピードも入社10年の疫禅士さん達と比べられても、同じようには出来ません。


ダブルチェックに時間がかかるのも人間ですから無くすようには出来ても、全てを完璧には出来ません。




仕事の流れを知る為に、準社員の仕事を経験するのは分かりますが、準社員である世匙訳さんの仕事を引き継いだら、世匙訳さんは何の仕事をするのでしょうかね。



世匙訳さんは疫禅士さんと井狭岳さんに手伝ってもらいながらしていた仕事を私一人でして、その上で経理の仕事をプラス。


どう考えても一人でする仕事量ではありませんでした。



それに疫禅士さんは、努力も改善も全くないって言いますが、無意味にしているのが自分達だとは微塵も思っていないのでしょうね。



まともに頑張る=疫禅士さん達に付き従うということですからね。


正直給与が下がるとかどうでもよかったですね。

むしろ何故恩着せがましく2万円にしてあげたとか言われなきゃいけなかったのか。


前代未聞は私が言いたいぐらいですね。
社内システムにはカレンダー機能が備わっています。

公開、非公開を決めて登録出来るので、外出や出張、自分のスケジューリングなど個々に登録しています。


まぁ面倒を嫌うこの会社では、会議のスケジュールぐらいしかほとんど使われず、登録していても見ていないのか連絡がきますので、あまり意味を成していませんでしたね。



私も最初は細かく分単位で登録していました。

どちらかというと、やった業務を忘れない為にですけど。


しかし、忙殺されるようになってからは、登録する数秒さえ惜しくて、締日などの締め切り以外は登録しなくなりました。




それが突然年明けに、スケジュールを分単位でカレンダーに登録するように。出来れば前日までに。と疫禅士さんから命令されました。


理由が分からないまま、命令なので登録するしかありませんでした。
(理由は後から分かりました。株東さんが入社して、株東さんが全員のスケジュールを把握したいと言ったからです。)
しかし、忙殺される毎日なので前日に登録出来ない、私の仕事の順番は井狭岳さんや世匙訳さんのせいでコロコロ変わるので登録したとしてもその通りにならない、ので、仕方なく簡単なスケジュールだけ登録しておいて、当日終わったら時間を現実に直していました。



しかし、そんな自分達のことは棚に上げて、気が向いた時、私を批判したい時に言われます。



疫禅士さんは、会議や出張が多いので大体時間はその通りに進みます。

井狭岳さんは、自分の思い通りに事が運ぶのでその通りに進みます。

世匙訳さんは、スケジュール通りしかしないのでその通りに進みます。



私以外は確定したスケジュールなので、私にもそれを強要します。

私以外の確定したスケジュールで進み、私が個々のそれに合わせる形で動かなければならないので、私のスケジュールが事前に確定することは絶対にあり得ないんですけどね。
世匙訳さんに言われたのですが、これには驚きを隠せませんでしたね。




説明された後に、質問ありますか?って聞かれるじゃないですか。

質問があったら聞きますし、無かったら今のところ質問はありません。って言います。

それで、進めていく中で質問が出てきたら聞くという流れだと思っていました。




ところが、説明された時にしか質問出来ないようです。

しかも、私だけに適応されます。

世匙訳さんは、質問がある度に疫禅士さんや井狭岳さんに聞いています。




予防線って何でしょうね。
井狭岳さんに言われました。


『ルーティーンを間違えるなんて頭がおかしいとしか思えない。どう思います?自分で思わないんですか?』のフレーズ付きで。


私がビックリして言葉が出ないでいると、井狭岳さんの思い通りの答えが出るまで連発されます。



その答えとは『その通りです。』という自己否定です。


それしか言えませんでしたけどね。



この頃は、というかずっとですが、散々出来ない出来ないって言われ続けていましたから。


最初は凄く傷付いていたのですが、繰り返し言われるので感覚が麻痺したのか疲弊したのか、自信が無くなり無理に納得しようとしていましたね。


寝耳に水な降格を承諾したのも、日常的な否定があって自分の存在意義が分からなくなっていたからです。


日常的な否定のループはこんな感じです。
仕事の説明されますが本当に流れだけなので、その間に発生する疑問や問題、発生した時の対処法についての指導は含まれません。


疑問や問題が出てくると間違えてはいけないので当然、上司である疫禅士さん、先輩の井狭岳さんや世匙訳さんに指示を仰ぎます。


指示を仰いだら、判断材料である経験が無いのにも関わらず丸投げされ、自分で考えて判断することを求められます。


指示をしないと動けないの?とか、指示待ち出来て良いよねとか、言われます。


なので、分からないなりにも仕事を仕上げていかないといけません。


そしてスピードも求められます。


分からないまま進めるので、当然ミスが出てきてしまいます。


ミスはダブルチェック時に発見されますが、自分の考えや判断した経緯を述べる前に全否定されます。


ミスした自分が悪いんだと責め、ミスを繰り返さないように細心の注意を払って慎重に仕事を進めます。


慎重にすると効率が悪くなりますので、更なるスピードアップを求められ、時間制限を決められます。


時間制限は仕事に慣れた疫禅士さん達の基準ですので、私には到底クリア出来ません。


スピードを重視するので、細心の注意が払えずミスが増えます。


その度に全否定されます。
ミスを防ぐ為、スピードアップする為、否定されない為、 正しい指示を仰ぐのですが正誤関係なく自尊心を傷付けられ全否定されます。


何をしても否定されるので何が正しいのか分からなくなってしまいました。


だから、自分で考えるのを止めて、メモとにらめっこし、言動を否定されればその時の正しいことをメモに追記して、常に否定されないように振る舞い従います。


常に疫禅士さん、井狭岳さん、世匙訳さんを中心に考えます。


常にミスをしないように、否定されないように、心身ともに緊張状態で仕事をします。


萎縮して声が掠れてしまったり、思考が停止したように頭が真っ白になって言葉が出てこなかったりして、会話さえ出来なくなってしまいます。


その間にも否定され続けます。


疫禅士さん、井狭岳さんと世匙訳さんに恐怖を覚えるようになりました。


そしてその恐怖は、否定のループとともに私を蝕んでいきました。

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