『ああ、死にたい。』そう呟く18時37分

席が近いとか遠いとか。

私と世匙訳さん、隣同士なので距離はたったの1席分なんですよね。


電話対応しながら来客対応って無理ですね。


しかも、井狭岳さんがその席にいた時は井狭岳さんはもちろん来客対応しないし、穫豎堰さんもしないし、放置だったので、全て遠い私が対応していたんですけどね。






ある時は、これも井狭岳さんなのですが。


過去の書類のデータが保存されている共有フォルダが経理部内に存在します。


私が使うのは営業から過去の書類の問い合わせがあった時なので、滅多にさわりません。



しかし、ある時、井狭岳さんが見たいデータファイルが無いと騒いでいました。


『大河内さんさっきさわってたよね。削除したんじゃないの?』


疑われました。


確かに、営業から問い合わせがあってさわっていましたが、削除なんてあり得ません。


デスクトップに必要なデータをコピーしてから作業しているので、オリジナルが無くなることはあり得ません。


しかし、井狭岳さんが信じる訳もなく、私に探せと騒いでいると、疫禅士さんが。


『ああ、そのデータなら私が移動させたの。』


データありました。


疑った私に謝罪はなく、良かったね。と3人で盛り上がっていました。
データだけでなく、書類でもありました。

私が持っていると決め付けることが。


私が持っていた試しがありません。

単なる井狭岳さんの整理整頓不足です。


謝罪もあったとの報告も一切無いんですよね。

無いと困る書類なので私がありましたか?って聞いて初めて、あったけど。(何か?)と不機嫌に返事をもらうのです。





しばらくして、疫禅士さんが私の隣に移動しました。(理由は不明です。)



なので席の詳細が、

 窓側:空席、空席、井狭岳さん、穫豎堰さん
入口側:PC、疫禅士さん、私、世匙訳さん

になりました。



そして穫豎堰さんが辞めたら、井狭岳さんの両脇は空席になったので、そこにクリアファイルや書類が山積みに。

椅子には鞄や傘などの私物が。


時たま飲み物をこぼして慌ててましたね。



因みに、窓側の一番左の空席は、疫禅士さんがたまに使っているからか、井狭岳さんは物を置きませんでしたね。
特に酷いのは井狭岳さんです。



ある時、長い長い井狭岳さんと世匙訳さんの話を聞いた後、井狭岳さんが一人でブツブツ言っていたので、また独り言か。と思っていたら。


いきなり。


『ふぅ〜ん、無視するんだね。もういい。』


と言ったのです。


すると、世匙訳さんが。


『大河内さん、無視とか人として最低だから。早く井狭岳さんに謝って。』


と私に向かって言いました。


意味が分からず固まっていると。


『ああ、もういいですから。世匙訳さん、私の言うことをきかない人に言っても無駄だから。』


と何故か私が井狭岳さんを無視したことになっていました。


そして、腹を立てている井狭岳さんのご機嫌を取りたいのか世匙訳さんが。


『大河内さん、早く謝りなさい。』


どうやらさっき終わったと思っていた話がまだ続いていたようです。
井狭岳さんの独り言を世匙訳さんは律儀に返しますが、私は仕事に関係ないプライベートな自慢話や苦労話(○○に行った、△△に行きたい、だるい、疲れた、眠い)なので、反応はしませんでした。
(これでも最初は反応していたんですよ。でも、井狭岳さんが私に無反応で話が広がらないので反応するのを止めました。疫禅士さんはもちろん、世匙訳さんや穫豎堰さんとは盛り上がっているので、私が嫌いなのでしょうね。)


プラス、困った、何でだろう、どうしよう、などかまってアピールも含まれます。



怒鳴られた直後の出来事だったので、正常な判断が出来ずに。


『失礼な態度を取ってしまって大変申し訳ございませんでした。今後は二度とないように致します。』


と世匙訳さんに言われるがまま、頭を下げて謝罪しました。


しかし、不機嫌を全面に出している井狭岳さんは。


『今更遅いから。返事が出来ないなら意味が無いし、もういいって言ってるのに理解も出来ないのね。』


と自己完結されて終わりました。
井狭岳さんは独り言だけでなく、ため息も大きいんです。


しかも、長いし回数も多い。


あからさまに私に向かって(私と会話した後)なんですよね。


私は無言の圧力を常に感じていました。







圧力といえば、個人的にですが井狭岳さんの声が苦手でした。


大きな甲高いキンキンした声だったので。


井狭岳さんの声のイメージは、スクールカーストで上位に君臨しているような、高校生ギャルのような感じです。
(因みに私は下位の下位ですね。声も低い方で、住む世界が違うみたいな感じですね。)





けれど、井狭岳さんは自慢していましたね。


『私がいると明るくなるって。』


感じ方は人それぞれですね。



しかし、それが東京出張に行った時に、東京本社の人達に言われたと言っていたので、私的には疑問でした。

研修で案内された時は静かで、挨拶した私の声の方が大きかったぐらいなので。


もしかしたら東京本社の人達は、静かな空間に現れた騒がしさに対して、お世辞を言ったのかなと。



疑い過ぎですかね。
世匙訳さんがやらした時の話です。


ある日、一人バタバタしながら請求書発行をしていると井狭岳さんから、

『そんなこと(請求書発行)より顧客の情報登録をしなさい。』

と言われました。


どうやら営業から井狭岳さんに、急ぎの連絡があったようです。

大切な請求書発行業務を、そんなこと、と言い切ってしまえる井狭岳さんに閉口しつつ、営業からOKを貰った請求書は当日郵送なので、どうすればいいかと指示を請うと。

『はぁ?そんなことも一人で出来ないわけ?』

と、全て私がするのが当然という返答です。


しかし、当日郵送のリミットは後1時間です。

現状、請求書を折る作業を開始するところです。


全ての請求書を折って封筒に入れ、(私)
その封筒を入れ間違いがないかのチェックをし、(井狭岳さんと世匙訳さんで手分け)
チェック後の封筒をのり付けし、(私)
郵送する為に郵便局に行って受付票を取る。(私)


チェックを2人がかりでするのにも関わらず、ゆったりゆっくりお喋りしながらの作業なので、正直言って1時間でも足りないぐらいです。
因みに一度、私があとどれぐらいで出来ますか?と聞いてしまった時がありまして。

『え?見て分かんないわけ?今忙しい中、必死でしてるんだけど。』
『チェックしてるんだから話しかけないで。』
『2人の邪魔しないで仕事しなさい。』
と、スリーコンボでした。

しかも、チェックの手を止めての口撃。

結局、その時は封をしていない封筒を郵便局に持ち込んで受付票を取った後、順番を待っている間にのり付けして事なきを得ました。


通常でも時間が足りないのに、そんな前科もあるので、頼み込んで頼み込んで頼み込んで、請求書は世匙訳さんが引き継ぐことになりました。


全ての請求書を折って封筒に入れ、(世匙訳さんと疫禅士さんで手分け)
その封筒を入れ間違いがないかのチェックをし、(世匙訳さんが入れた分を疫禅士さん、疫禅士さんが入れた分を井狭岳さんで手分け)
チェック後の封筒をのり付けし、(疫禅士さんと井狭岳さんと世匙訳さんで手分け)
郵送する為に郵便局に行って受付票を取る。(世匙訳さん)


とまあ、私と違って手厚く過保護にされているのを感じ取りながら、一人バタバタで顧客の情報登録をなんとか完遂させました。
世匙訳さんのやらかしが発覚したのは、世匙訳さんに引き継いだ請求書を郵送した5日後。

とあるお客様から、関東本社に電話があったそうです。

違う会社の請求書が入っていると。


関東本社→問伝さん→疫禅士さんへ連絡が回り、責任の追及が始まりました。


請求書発行は私の担当なのでもちろん。

『会社を間違えるなんて無責任にも程がある。』
『見落としとか社会人としてあり得ないから。』
『信用問題にも関わる重大な過失なんだけど。』

矢継ぎ早に非難の嵐。


しかし、よくよく思い返していると。

電話があったお客さんの請求書を営業からOKを貰い郵送した日は、世匙訳さんに引き継いだ日でした。

社内システムでも確認が取れ、私の無実は証明されました。


そして、原因が世匙訳さんだと発覚した途端。

『今回はバタバタだったから仕方ないね。』
『誰にでもミスはあるから気にしないの。』

矢継ぎ早に擁護の嵐。
しかも、今回の件を上に報告する為に顛末書を書く時も。

『簡単でいいよ。顛末書なんて形式的なものなんだから。』
『状況が悪かっただけなんだから。』
『お客さんも怒ってなかったしね。』
『営業が上手くやってくれるから大丈夫。』

擁護の応酬。


箇条書きを含む簡単な顛末書と、疫禅士さんがきつく注意すると上に報告した為、世匙訳さんは特にお咎め無しでした。


私とはえらい違いですね。

会社を間違えてる無責任でも、
社会人としてあり得ない見落としでも、
信用問題にも関わる重大な過失でも、

私以外なら何の問題もないようですね。

当然ながら、散々罵倒しまくった私に対して謝罪の一言もありません。



そもそも、世匙訳さんを擁護していた疫禅士さんと井狭岳さんも同罪なんですよね。


封筒に入れたの世匙訳さんと疫禅士さんで、
入れ間違いがないかのチェックをしたの疫禅士さんと井狭岳さんですから。


2人ともバタバタしてて覚えてないと言い張っていて、追及もしなかったのでどちらかは不明です。





もしも私だったらどうなっていたんでしょうね。
想像もしたくありません。