ベッドに仰向けに寝転がり、通話を終了したばかりのスマホをじっと見つめながらニヤッと笑った。
恐らくこの場に姉である陽菜がいたら悪魔の笑みだとか言ってくるのだろうけど、笑みを浮かべずにはいられなかった。

「やっぱり多少強引にいった方が上手くいきそうだな」

有無を言わさず言いくるめた自覚はあるけれど、そのおかげで上手くいったのも事実だ。
真未にそのつもりはなくても朝陽は明日、デートをするつもりで誘っていたのだが……。

「まぁ、あの様子じゃ気づいてないだろうけど」

今はまだそれでもいいけれど、多分すぐに自分が満足出来なくなるんだろうなと苦笑した。
何せ独占欲が人が一倍強い、だから早く手にいれてしまいたい。

「それにしても、この文面……」

呟きながらもう一度真未から来たメッセージを表示してまじまじと見ていると、再び笑いが込み上げてきた。

「これはないよな、これは。
箇条書きの返信なんて始めて見たし」

誰にでもこんな書き方ならとりとめのない会話は一体どんなやり取りになるんだろうかと断然興味が湧いてしまった。

「そんなやり取りができるように、早く興味を持ってもらわないといけないよな」

スマホを傍らに置き徐に起き上がると朝陽は明日真未に渡すCDの用意をする。
真未との距離が一気に縮まるきっかけとなったKaiserのCDに、朝陽は感謝せずにはいられなかった。