『返事の内容が簡潔すぎて箇条書きかと思った……っ!
なに?相手が俺だったからあんなに簡潔なの?』

「いや、杏子にもあんな感じだけど……なにか変?」

『マジか……っ!』

あははははっ!とスマホは遠ざけてはいるようだけれどもまったく隠せてない笑いが聞こえてくる。
何がそこまで面白いのかわからず、もう切っていい?と聞くと、ちょっ……ちょっと待って……!と息も絶え絶えになりながら言う声が聞こえてきた。

『あー……苦しかった、笑い死にするかと思った。
俺の友達……あ、もちろん男だけど、そいつらでもこんなに簡潔な文送ってないよ』

「悪かったわね、簡潔すぎて。
で、何の用?」

『あ、怒ってる?ごめんって!
CDとカフェオレ明日渡そうと思ったんだけど、俺昼まで大学行かないとなんだよね。
だからそれから会えない?』

それとも何か予定ある?と聞かれてえっと……。と鞄を探ってシフトを取り出す。
明日は朝から昼過ぎまでバイトが入っているから、それから会うとしたら少し待たせることになるかもしれない。

「明日14時までバイト入ってるから、会うなら待ってもらわないといけないかもしれない」

『バイト?大学の近く?』

「そうだけど、時間通りに上がれるかわからないからまた今度にでも……」

『わかった、じゃあ終わったら連絡して!
バイト伸びたら適当に時間潰しとくし』

「え、ちょっと、秋村く……」

じゃあ、また明日!と聞く耳持たず一方的に切られたスマホを呆然と見つめる。
何だかすごく強引に約束させられてしまったけれど、これでよかったのだろうか……?と自問自答しながらも、明日朝陽に貸すCDの準備をしっかりして眠りついたのだった。