「うん。あたしは平気」


真っ先にそう返事をして、後の2人も同意してくれた。


正直、寺島がどんな歌を歌うのか想像もつかないけれど。


「よかった。行こうと思ってるカラオケ店、俺の兄貴が店長なんだ」


「嘘、すごいね!」


輝明にお兄さんがいることを今初めて知った。


王子王子と言いながらも、輝明のことなんて何も知らなかったのだ。


「それほどじゃないよ。でも、時々友達を連れて行ったら喜んでくれるし、割引にしてくれるんだ」


それはラッキーだ。


安いにこしたことはないし、輝明のお兄さんならきっとイケメンだろう。


期待しながら歩いていると商店街を抜けて裏路地へと入り込んで行った。


お店は一体どこだろう?


そう思っていると、輝明が十字路の角で立ちどまった。