私は玲(れい)。


町と言うほど賑やかではないが、村と言うほど人が少ないわけでもない、


自然がたくさんの、のどかな地区に生まれた。


お父さんは、絵に描いたように真面目な公務員。


お母さんは、おしゃべりな、どこにでもいるような普通の主婦。


私は、お父さん似のあまり喋らない内気な子。


年少の頃は、幼稚園に行きたくないと毎朝泣いていて、お母さんに無理やり引きずって連れていかれていたことを覚えている。


なぜそんなに行きたくなかったのかは覚えていない。


現在と同じように、人付き合いが苦手だったのだろうか。



年中に進級すると、行きたくない病も落ち着き、毎日ちゃんと通うようになった。


この頃の私は、普通に友達とわいわいやっていた。


室内でぬいぐるみで遊んだり、外で遊具で遊んだり。


この頃は全く人間嫌いではなかったし、独りが好きということもなかった。


幼稚園児だから、あの人とは合わないとか、そういうことは考えないもんね。


小学生、中学生と成長していき、いろいろなこと、いろいろな感情を覚えていくにつれ、難しい問題が生じ始める。


幼稚園児みたいに気楽にできないものかな、大人の人付き合いも。


まぁ、みんなが何も考えずに他人と交流していたら、それはそれで大変なことになりそうだけど。


ともかく、最初の行きたくない病は別として、幼稚園はこれと言って嫌なことはなかった。