胡蝶が「秋骨はシリアスだろう。酔いのうえではあるまい。禿木、いま自由に動けるのは君だけだ。ひとつぼくからも頼むよ。近日中に一葉宅へまた赴いてくれないか」と頼み秋骨に「なんという人徳のある神父だ。日本福音教会も材を得たものだ」と云えば「このやろう、さっき背徳のけしからん神父と云ったのは誰だ!?」と応じ皆が哄笑する。これからいっしょに飲み直しのうえで自分の画策することを述べるからと強引に誘い、連れ立って帝大構内から池之端方面へと4人は消えて行った。        

《小説返歌》
夕月夜をぐらき夜半に一葉はいかにかおのれむすぼほれけむ
 
龍泉も萩のお宿も住みかねてをぐらきままに男狩りもす
 
いとせめてこの娘(こ)なりとも発たせてむ澱に住ましょかお力と死すな
                                  ―上三首著者

【※下の写真は秋骨ら4人の「青雲の志士」たちのイメージで、本人たちではありません。↓】