いつの日か彼女とまたこうして人生や文学を語り合えるだろうか?時空の隙間に入る直前一葉が私の肩に頭をあずけてくれた。恋しい。いとおしい。この人こそが。まさに一葉恋慕である。その一葉がいま、消えた…。

 「小説返歌」
世が人がとありかかりとひたみちに云ふが空しさ己心の魔ななり

花と咲きお蝶呼びたし我妹子(わぎもこ)をうもれ木ままでは果さざるらん 
                                   ―上二首著者

(※PS4)これ以降「一葉恋慕・明治編」に移ります。前編の語り手たるプータローの「私」はここでは出て来ません。単にWRITERたる〝私〟に代わりますが、しかしさて、本編の最後の最後で、思わぬ形でライターと〝私〟が連結するやも知れませんので、どうかご留意のほどを…。