「あなたの偽りのない姿を見せていただいて、本当に感激しております。もうひさしく私は、このような体験はしておりません(どころか、マジで始めてだった)。あなたの涙に禊がれたような気さえしております」と正直にいまの気持ちを伝える。今まさに共有が、彼女との一体がなされたような気もする。このままじっと見つめ合っているだけで充分な気がした。一葉の私への眼差しにも何か境が取れたような、親近の度合いが深まったような色があった。「いいえ、こちらこそかたじけのうございました。胸の奥まで察していただいた心持ちがして…あの、ほほほ、気が晴れました」と云ってくれたのだが、しかしこの時迂回して来たさきほどの老人が側道の茂みからいきなり現れて「プータロー」と一言小声で罵り、そのまま公園の奥の方へと離れて行った。さらにそれに合わせたわけでもあるまいが今度は木立の向こう、周回する車道の方からこちらは大声で「プータ!」「プータロー!」「プータ!」と男、女、男の順で若い男女の罵る声がした。すでに耳タコになっていた件のストーカーども、偏執狂の親分の使い奴どもとすぐ知れた。暴走族あがり(もしくは現役?)の彼らは楽しむがごとく車で私を追いかけて来ては罵り、車中で私が寝込めばまたぞろエルム街のフレディをやらかすのだった。どこへ逃げても神出鬼没のように現れるのは霊視女というナビゲーターを備えているからである。彼のオウム真理教の、あるいは(文字通り)ヤクザの街頭宣伝カーのように、彼らのビクティムに摺り込みをするがごとく、何回でも「プータ」を連呼してみせる。こちらの神経をまいらせようとでも云うのだろうがそのしつこさに限りはなかった。こいつらに限らずいまの、いじめ世のトレンドなのだとも思う。とにかくそいつらがまたぞろ現れた。一番現れてほしくない、いま、この時に。