その写し絵とも云うべき子供達の世界ではいじめが、また新カースト制などというものさえもあるようだ。それで云うなら私はシュドラーで且つネズミだ。私は斯くも悲惨である。
「得たり賢し」とばかりこのような事どもとわが経緯を一気に一葉に述べようと思ったがしかし止めた。「その手の女と間違わないで!」と憤慨しておきながらその実身を売る決心を図っていた一葉の辛さと、更にはそれを言挙げのごとく私に明かしてみせた一葉の真摯さを思えばそんな事が出来ようか?ここは一つ、余所衣を脱いでくれた一葉になけなしの男気を見せる他はない。
                   
「小説返歌」
売女めと罵らば罵りね烏の世されど遣(おこ)せよ寝屋と粥、汝が犠牲(にえ)ぞ

オレンジの皮むくごとく女(をみな)実の余所衣(よそい)はがすはつひになからず
                                       ―上二首著者