男が一歩踏み出すと、
丸い男が一歩下がる。
男は短刀を鞘に収め、
転がっている物からナイフを奪った。
男は丸い男にナイフを向ける。
そして、
一歩踏み出す。
「やめろ!
いやだ!
やめろ!」
男は距離を詰め、
丸い男の頬にナイフを這わせる。
すると、
切れた皮膚から、
赤い血が一つの線を作る。
「ひぃっ、」
丸い男は情けない声を出す。
「…もっと怖がれよ。
…もっとその顔を見せろ。
もっと…
俺を楽しませろ。」
男の目は、
丸い男に一心に向けられ、
男の口元は、
緩んでいた。
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