その後、ぼんやりと授業を聞きながらさっきの視線のことを考えていたから、授業はすぐに終わってしまった。

『キーンコーンカーンコーン…』

チャイムが鳴って授業が終わると、クラスの女の子達が私のところに集まってきた。

「ねぇ、桜夜ちゃんって頭良いんだね!」

「さすがだね!本当にありがとう!」

「イタリア行けることになるなんて、思ってなかった!桜夜ちゃんのおかげだよ!」

口々にそう言う女の子達に私は笑いかけた。

「私もイタリア行ってみたかったの。みんなと行けるの楽しみだよ!」

そう言うと、クラスメイトとの距離がグッと近付いた気がした。

色々な話で盛り上がっていると、ふと一人の女の子が私に尋ねてきた。

「桜夜ちゃんって部活とか考えてる?」

「えっと…この学校にあるなら、軽音部かなって…」

中学の時にサックスをやっていたこと。

吹奏楽ではなく、軽音の中のサックスに興味があること。

そう話すと、目をキラキラさせて聞いていた女の子がずいっと前に出てきた。

「本当!?じゃあ、一緒にやろうよ、軽音!あたし、軽音部でドラムやってるの!…っと、ごめんね。あたし、立岡楓菜。楓菜って呼んでね。で、どう?入ってくれる?」