封筒の中に紙を入れ直して、机の中にしまう。

「ねぇ、桜夜!」

入学して最初にできた友達である理乃が私の机の方にやってきた。

「どうしたの?」

「次の授業、なんだと思う?」

「え?英語じゃないの?」

昨日の連絡では英語だったはずだ。

「あのね…」

もったいぶっている理乃を見て、不思議に思う。

授業変更だったらこんなに嬉しそうじゃないよね?

理乃は英語が好きなはず。

「はぁ、さっさと言えよ…葉月さん困ってんじゃねぇか…」

呆れ声が頭の上から降ってきて、私は顔を上げた。

そこには、クラスの学級委員である如月悠弥くんが。

「如月くん、次が何だか知ってるの?」

「あぁ。この時期のA組といえば、なんだよ。まぁ、杜若が言いたそうだから言わないけど。」

「…?」

首を傾げて理乃を見ると、彼女はやっと口を開いた。

「イタリア語だって!」

「イタリア語?何で?使う機会ないよね…」

小声でそう言ってから、私は思い出した。

修学旅行のこと。

星花は確か、外国に行くはず。

ってことは…?

「修学旅行のため…?」

「うん!桜夜、正解!」

にこっと笑った理乃につられて私も笑う。