それから、どれぐらいの時間が経っただろうか。体がゆらゆらと揺れているのを感じて、夕映はゆっくりと目を開けた。


 「ん…………、あれ?………斎……。」


 気づくと、彼にお姫様抱っこのように抱えられていた。すぐ近くに彼の顔があり、起きた瞬間からドキリとしてしまう。心臓に悪い。


 「あぁ、起きたのか。遅くなった、悪かったな。」
 「ううん……。」


 彼はゆっくりと本の部屋から出ようとしていた。外はすっかり暗くなっている。結構な時間寝てしまっていたようだった。


 「明日、パーティーに行くことになったんだ。お前も一緒に行ってくれないか?あ、もうおまえの家には確認してある。」
 「………それ、もう行かなきゃいけないんじゃない?」
 「そうだな。明日、一緒にドレス選びに行くぞ。俺の隣りにいてもらんだ。俺が選んでやる。」
 「………わかった。楽しみにしてる。………で、なんで抱っこしてるの?」
 「あぁ、これは……なっ。」
 「あ………キャッ………。」


 斎は言葉が終わる前に、少し乱暴に夕映をある場所に落とした。
 けれど、それは全く痛くなく、むしろふわふわで体が包まれるほど優しい場所だった。
 だが、夕映はそこにいても全く安心出来なかった。

 そこは、斎が使っているキングベッドだったのだ。


 「話しは終わりだ。さて……、やっと2人きりになれたな。」


 斎はニヤリと笑いながらベットに上がり、着ていたスーツのジャケットを脱ぎ、そしてネクタイを乱暴に片手で緩めながら、夕映に近づいてきた。