カレーを食べながら嬉しそうに笑う依央の姿は、子どものように幼かった。斎とは全く違う微笑みなのに、どちらもキラキラしているなーと考えてしまい、夕映はハッとした。
 目の前には別の男性がいるのに、何故、斎の事を考えてしまったのか。依央に申し訳なくて仕方がなかった。


 「先輩がおすすめしてくれる本はどんな話しなんですか?」
 「…………。」
 「先輩?」
 「あ、ごめんなさい。何の話だったかな?」
 「………夕映先輩、もしかして………。」


 依央は、何かに気づいたのか夕映の顔をまじまじと見てきた。斎の事を考えていたのを気づいてしまったのかと、夕映はハラハラしてしまう。
 だけれど、依央は全く違うことを口にし、夕映は驚いてしまった。


 「………緊張してるんですか?」
 「………え……なんで?」
 「僕が、夕映先輩を好きだって言うって言ったからです。」


 少し恥ずかしそうに依央が小声でそう話す。それを言われて、夕映は改めてその事を思い出した。確かに会う前は「今日は告白されに行くみたいだな。」なんて、思いとても緊張してしまっていた。けれど、その告白すると言った彼と話をしたり、そして斎の事を考えてしまっており、夕映はその時間は告白の事が頭からなくなっていたのだった。
 彼に言われて、一気に恥ずかしくなってしまい、顔が赤くなるのがわかった。


 
 「依央くん、それって本気なの?」


 夕映から出た声は、依央と同じように小さなものになっていた。
 すると、依央はさらに顔を近くしてこそこそと返事を伝えてきた。


 「はい。もちろんですよ。後で言いますので、ドキドキしててください。」
 「依央くん………それもう言ってるようなものだよ。」


 昨日も感じた事だけれど、予告するのはずるい、と夕映は思う。
 けれども、それを聞いた彼は、ただニコニコと笑うだけだった。