「昔は2人で風呂入ってただろ?しかも、おまえから誘ってきたじゃないか。」
 「そ、それは………。」
 「今日は誘ってくれないのか?」
 「そんな事………っっ!ぁっ………!」


 斎は、そういうと何故か首元をペロリと舐めたのだ。夕映は、ビクリッと体が揺らした後に体の力が抜けていくのを感じた。 
 斎に触られるといつもそうだった。
 昔も、そして最近も。


 「今でも首が弱いんだな……、夕映。」
 「や………。」
 「やめて?やだ?言わなきゃわかんないね。」


 嘲るように笑うと、力が抜けた夕映の体を支えるように抱きしめながら、斎は夕映の唇にキスをした。


 「………っ……やめっ、いつき……。」
 「………おまえも頑固だな。素直になれよ。」
 


 キスとキスの間に斎が言葉を洩らした。
 それが出来ないのは、あなたのせいなのに。そんな事を思いながら、彼からの甘い誘惑を感じることしか出来なかった。

 どうして、自分の体はこんなにも彼を求めてしまうのだろうか。
 他の男の人ならば、きっと体を思いきり押して逃げているはずなのに。今は肝心の体が言う事を聞かないのだ。


 甘くて深いキスがしばらく続いた後。
 これだけは手放してはいけないと必死に掴んでいたタオル。
 それを掴みながら、夕映は潤んでしまっている瞳で彼を強く視線で見つめた。




 「…………斎のバカ。」
 「そんな顔で言われても、な。おまえも一緒に風呂に入り直すか?体冷えてたぞ。」
 「………入るはずない。」
 「じゃあ、俺の部屋で待ってろ。帰りは送る。」
 「…………。」


 夕映は彼から視線を外すと、彼はさっさと服を脱いで風呂場に行ってしまった。
 斎が向かった先を少し見つめた後、夕映はすぐに服に着替えてその場から離れた。
 体はお風呂上がりとは思えないほど冷えきっていたはずなのに、体の中は熱くて仕方がなかった。