丁度きたコーヒーを受け取りながら、恥ずかしそうに笑う依央を見つめながら、夕映は微笑ましく思ってしまった。
けれど、彼がどうして自分に会いに来たのか、夕映にはわからなく、不思議そうに依央に訪ねた。
「どうしたの?私に何か話とかあったかな?」
「えっと………。この間の大学のテニス部の飲み会で途中からいなくなっちゃったので。何かあったのかなって。」
「あ、ごめんなさい。声も掛けなくて……。少し体調が悪かったから、斎に送ってもらったの。」
「斎先輩、ですか。」
斎の名前を出すと、依央は少し顔が固まり、先程よりも緊張した面持ちだった。
斎と抜け出したのは知らなかったようなので、余計なことを言ってしまったと、夕映は少しだけ後悔した。けれど、嘘をついてしまってるとはいえ、彼に隠し事をするのも嫌なので、そのまま彼との話を続けた。
「依央くん、心配してくれてありがとう。心配でこうやって探してくれてたなんて、相変わらず優しいね。」
「そんな事ないですよ。僕は優しくなんかないです。」
「………どうしたの?なんか、考えてることでもあるの?あ、もしかして何か相談したいことでもあったかなぁ。」
彼の真剣な表情をみて今度は逆に夕映が心配になってしまった。わざわざ何度も足を運んで探すぐらいだ、特別な用事があるのだろう。
夕映は、彼の顔を覗き込む。
すると、少し驚いた顔を見せたあと、彼はすぐに視線をそらしてしまった。
「話しにくいこと?」
「まぁ………でも、話をしたいんですけど………。」
「うん。どうぞ?」
「…………その、夕映さん………好き………。」
「……すき?」