その優しい声を聞いて夕映は、斎の胸から顔を話、斎を見つめた。緑がかった綺麗な青色の瞳を見つめる。
 空にも海にも見える綺麗な瞳で、斎はいつも夕映を大切にそして包むように見守ってくれていてのだ。
 そんな事もわからずに、夕映は真実だけを見ていた。その言葉の本当の意味を知らずに。

 その綺麗な瞳にずっと自分を映していて欲しいと、夕映は強く思う。
 もう迷ったり悩む理由もないのだ。

 夕映が口を開いた。
 けれど、その前に斎が優しく、そして真剣な口調で夕映に語りかけてきた。


 「夕映。俺はおまえがずっと好きだ。……また、俺とやり直して2回目の本気の恋愛をしてくれないか?」

 
 その言葉を聞いて、夕映は我慢していた涙が一気に流れ出した。
 この問い掛けに、夕映は答えられなかったのだ。恋人になれなくて、でも彼が好きで、「はい。」と言えなかった事を後悔した夜も何度もあった。
 寂しくて、会いたくて………自分が意地になっているだけなんじゃないかと、自分を責めたこともあった。

 けれど、斎は何度でもその言葉をくれた。
 好きだと伝えてくれる。
 それがとても安心できて、また昔のように2人の幸せな時間が過ごせると思うだけで、幸福で涙が出てくるのだ。


 「今からでも遅くないの?……ずっと斎を拒んできたのに……。斎の恋人にまたなってもいいの?」
 「………なってくれ。俺は待ちすぎて限界だ。早くおまえを手に入れたい。」
 「…………好き。斎がずっと好きだよ。斎との約束を守りたくて頑張った。笑顔が見たくて、夢を叶えた。だから、隣に居てもいい。」
 「あぁ。もう、おまえが離れたいって言っても逃がさないから。」


 ずっと捕まえていて欲しい。
 それが夕映の願いだ。

 斎が指で夕映の涙をすくい、目にキスをした。夕映がくすぐったさから目を閉じると、そのまま斎の唇が夕映の唇に落ちてきた。 
 ただ唇を当てるだけの長いキス。
 それだけで、夕映は彼が自分のところに戻ってきたのを感じ、満ち足りた気持ちになった。