「うん。斎くんとの話しは聞きたくなかっただけ。……だけど、斎くんが夕映の事を好きだってことは、見ててわかってた。……だからこそ、話しを聞きたくなかったのかもしれないけど。」
「……南ちゃん。」
「だから、昨日のパーティーはただの八つ当たりだよ。夕映ちゃんは、斎くんからもらったものを着てるのに、私は違う。そして、斎くんにエスコートしてもらう夕映ちゃんを見るのかって思ったら……。ごめんね。自分の感情のコントロールも出来ないなんて。」
「………ううん。いいよ。」
自分が南ちゃんの立場だったら、同じことをしていただろう。そんな事を思うのも、本当はダメなのかもしれない。けれど、そう思ってしまう。
好きな人の傍にいれない辛さは夕映もよく知っているのだから。
「南ちゃん。一緒に講義室行こう。」
「………ありがとう。」
こんな事で南との関係を止めることなどしない。それは、きっと南もそうだ。そう思い、夕映は南をいつものように誘った。いつも一緒に講義に行き、ランチを食べて、お茶をして帰る。お互いの部屋にも行くし、飲み会をしたりするし、夕映のテニスの試合を南が応援しに来てくれたり。学生らしい友達付き合い。だからこそ、大切な友達だった。
「ねぇ、夕映ちゃん。」
「ん?」
「1つだけお願いがあるの……。」
「何?」
夕映が先に講義室に行こうとすると、南に引き留められた。振り返ると南は真剣な表情でこちらを見つめてた。