「ど、どうも……」


片手を軽くあげ、少しだけ顔をしかめた人物。


匠くんだった。


匠くんが私の部屋に入るのは、私が間違ってアルコールを飲んだ、パーティーの翌朝以来だ。


「それ……なに?」


表情が怖いよ、匠くん……。


しかめっ面がこんなに怖いとは思わなかった。


……それよりも。


匠くんの言う“それ”というのは……。


「あぁ、これ?


ベッドの上に置いてある大量の手紙?」


「……あぁ」


「じ、じつはさ、今日もストーカーからたくさんの手紙が届いたんだよね。


私のこと、あきらめきれないみたいで……」


もう、怖いよ……。


怖くて怖くてたまらない。


本当は捨てたいけど、怖くて捨てる勇気がない。