私がそう声をかけたそのとき。


「……あのさ」


静まりかえった空気に、薫くんの声が響いた。


突然、薫くんが声を発したので、体が一瞬だけ震えた。


「な、なに……?」


「言えよ……」


「え?」


な、なにを?


薫くんがいったいなにを言いたいのか、さっぱりわからない。


私になにを言ってほしいんだろう。


「言えって……なにを言えばいいの?」


「返事だよ」


「返事?」


「告白の返事だよ」


告白の返事……?


あっ、思い出した!


湯原グループ主催のパーティーがあった日の翌朝、薫くんに告白されたんだっけ。


今までそのこと、忘れてた……。


ストーカーからの手紙のことがあったから、すっかり忘れてたよ。