「うわぁ、きれい……」


観覧車から見える外の景色は、すごくきれいに見えた。


新しい発見しちゃった。


私、観覧車に乗ったことが一度もないからね。


今度、ひとりで乗ってみようかな。


誰かと一緒にいるときとは、また違う景色が見えるかもしれないから。


きれいな景色を見ると、なんだかテンションが上がるなぁ。


それに対して、薫くんは……。


ムスッとした顔で、外の景色に目を向けている。


頬杖をつきながら。


薫くん、さっきからどうしたんだろう。


機嫌が悪そうな顔しちゃって。


声かけてみようかな。


「ねぇ、薫くん……」


「…………」


「ねぇ……」


しーん……。


薫くん、全然反応してくれない。


こっち向いてくれないし、ひとことも言わない。