『あのふたり、付き合ってるのかな』


いや、この言葉じゃない。


『付き合ってないんじゃない?』


いやいや、この言葉でもない。


『まぁ、お似合いだけど』


あっ、この言葉だ。


頭の中でその言葉が再生された瞬間、顔が熱くなった。


お、お似合い……⁉︎


わ、私と薫くんが……⁉︎


そんなわけがない。


たしかに薫くんはイケメンだけど、私は薫くんみたいなイケメンとつり合う女の子とは思えない。


可愛くもなんともないし。


なんて思っていると、薫くんが突然振り返って、私に手を差しだしてきた。


えっ……な、なに……?


頭上にたくさんの疑問符が浮かぶ。


なんの意味があって、私に手を差しだしてるんだろう。


「……はぐれるといけないから」