触ったら、きっと気持ちいいんだろうな。


薫くんの肌を触る勇気はないけど。


めんどくさそうに頭をかく薫くんには、見ていることにまったく気づかれていない。


そのことに、なぜか安心する。


その直後、さっきの女の子たちとは別の女の子3人組が、こちらを見ながらヒソヒソと話すのが見えた。


「ねぇ、あそこ、見える?」


「見える見える。


背が高いイケメンが、女の子と一緒に歩いてるところでしょ?」


「そうそう」


「あのふたり、付き合ってるのかな?」


ドキッ。


“あのふたり”って、私と薫くんのことだよね。


「え〜、どうだろ。


付き合ってないんじゃない?


だって、手つないでないし。


まぁ、お似合いだけど」


ん?


今、なんて言ったの?