「……はぁ。


だったら、俺も一緒に行く」


へ……?


薫くんも一緒に行く……?


「で、でも、その格好のままでいいの?」


黒のスウェット姿のままじゃ、誰かに笑われるんじゃない?


私の指摘に、薫くんが少し顔を赤くしながら、階段を上っていった。


薫くんが私のところに戻ってきたのは、それから数分後だった。


私服に着替え終えた薫くんが、めんどくさそうに頭をかく。


「……じゃあ、遊園地に行くぞ」


「う、うん……」


薫くんをここで止めることは可能のはずだった。


けれど、私服に着替えて『一緒に行く』と言ってくれた薫くんを突き放すのは気が引けたので、うなずくことしかできなかった。


先に靴をはいて出ていく薫くんの背中を追いかけ、私も靴をはいて家を出た。