と、ここで、誠さんが呆然とした顔でボソボソとなにかをつぶやいた。


「てことは……ふたりは両想い……?」


ん?


なんて言ったんだろ?


よく聞こえなかったな。


もう一回聞いてみようかな。


そう思ったけれど、いくら声をかけても、誠さんは反応しなかった。


なんでだろう。


まぁ、いっか。


小さく息をつき、頬に手を当てる。


頬に帯びた熱を冷ますためだ。


そして、口を開けた。


「最初……翔さんのことが嫌いでした。


私の嫌がることばっかりしてくるし、私が相手のときだけ、意地悪なことを言ってたから……。


でも……最近、気づいたんです。


意地悪な翔さんに、ドキドキしてるんだって。


まぁ、恋かどうかはわからないですけど……」