ついに言ってしまった。


気になってる人がいるんだということを。


だけど、それは嘘ではない。


誠さんが、少し悲しそうな笑顔を見せる。


「そっか……気になってる人がいるなら、しょうがないね」


その顔が泣いているような気がして、胸がキュッと痛くなった。


誠さん……本気で私のことが好きだったんだ。


「本当にごめんなさい……」


「いや、謝らなくてもいいよ。


俺の気持ちより、愛海ちゃんの気持ちを優先しないとダメだからね」


なぜ私の気持ちのほうを優先しなければならないのかはわからないけど、誠さんが怒っていないとわかり、安堵する。


誠さんを怒らせずに済んだようだ。


しかし……。


「愛海ちゃんに、気になってる男がいるのはわかったけど、それって誰なの？」