胸のドキドキよりも、恐怖心が勝ってしまって、言葉が出てこない。


そんな私を見て、誠さんが顔を近づけてくる。


「……ねぇ、どうなの?」


「え……ど、どうって、なにがですか……?」


なんとか言葉を返したが、自分の声は、驚くほどに震えていた。


まだ恐怖心が残っているのだろう。


「告白の返事だよ。


俺のこと……好きなの?」


「え、えっと……」


誠さんのことが好きかと聞かれたら、好き。


でもその『好き』は、恋愛的な意味で好きというわけではないと思う。


誠さんにドキドキしていたのは、単に男の人に慣れていなかっただけだろう。


それに……。


「ま、誠さんが、私のことを好きって言ってくれるのは、本当にありがたいことです。


すごく嬉しいです。


でも……私、気になってる人がいて……」