「太陽や月や星は、一時間に十五度動くように見えます。そして、星は一ヶ月で約三十度動いて見えます」

河合先輩も言った。

「日周運動は一時間に十五度、年周運動は一月に三十度動いているんだ」

「太陽は自ら光を出す恒星。表面の光り輝く部分は光球、表面に見られる黒い斑点は黒点、表面から吹き出す炎のようなガスの動きをプロミネンス、皆既日食の時に見られる高温の薄い大気の層をコロナと言うの」

岩井先輩は、俺たちが驚くほど星のことを話す。

地球は太陽の周りを回っているけど、月は地球の周りを公転する衛星。南中は太陽が真南に来ること。

星の話をしばらくした後、俺と友永は互いに顔を見合わせる。そろそろ告白した方がいいのかもしれない。

「星野先輩、ちょっといいですか?」

友永が星野先輩に声をかける。

「ん?どうしたの?」

「話があります。こっちに来てもらってもいいですか?」

ドキドキしながら俺たちは言った。星野先輩は不思議そうな顔をしている。

頂上から離れた場所へと、星野先輩を誘導する。心臓はいつか破裂してしまうのではないかと思うほど、鼓動している。

「星野先輩……」

俺と友永は、星野先輩を真っ直ぐに見つめる。そして、ゆっくりと口を開いた。

「俺、先輩と始めて会った時から先輩が好きです!俺と付き合ってください!」と俺。

「俺も本気で先輩が好きです!俺の彼女になってください!」と友永。

「ええっ!?」

星野先輩は、真っ赤な顔で驚いている。しばらく静寂が流れた。