俺はその日友達と遊んでいた。


その帰り道人気のない道を歩いていたら、


後から誰かに口を覆われ手も足も動かせなくなり、


為す術もなく連れ去られた。






攫われた俺はどこか広い建物に監禁され、


一から躾られた。


それは執事になる為の躾だった。





今どこにいるのかも分からない。


いつ解放されるのかも分からない。


辛い、苦しい、家族に、友達に会いたい。


俺は誘拐されたのだろうか?


警察は来ないのか?


来ないのはなんで?




「これを身につけないとここからは出られないよ。」


「君を助けに来る人なんて誰もいない、

自分で生きるんだ。」



女の人にそうずっと言われ続けた。


俺も半年も経てば希望を捨てた。


それからの俺は、


自分で生きる術を身につけようと必死で勉強した。


それから二年、


私はようやく一人前になれた。




これで解放される!


解放される、


解放…?


私はこれから、何をする?


何をすればいいんだ、


私はどうすればいいのか分からなくなり、


私はただ一生懸命、その家でがむしゃらに頑張った。



そして、いつでも外に出られるようになった。





だが、私は外には出ない。


私を必要とする人は本当に居ないのだろう。


いるのだったら私は今ここにはいない。


私は、みんなの中でその程度の存在だった。






私はここで働きだした。


ここは世界をまたにかける財閥のお屋敷だ。


なぜ私を攫ったのかは分からない、


だが私に生きる術を教えたのは、


私が何かに必要だったからだろう。


私はそれをやってみたい。


誘拐して長い時間をかけてまで躾て、

させたい事とは一体なんなんだろう。