「あ、あたし、追いかけて来る!」
「ほっとけ」
「リュウト!何で止めるの!?千夏ちゃん、黒蝶に狙われてるんだよ!?」
「そうかも知らねぇが、今は一人にしてやれ」
今はその方がいい。
「……晴香ちゃん!お腹空いた?ご飯作ってあげるよ?」
「じゃあ、食べる!」
「よし!先に店に戻っててくれる?」
「うん!」
俺らを残して、晴香は店の中に戻らせる。
「なぁ、リュウト」
「なんすか」
ポケットからタバコを取り出して一服する。
「生きてて良かったな」
そうか。
優作さん、あの頃まだ中学生だったくせに族に入っててアイツのこと知ってんだったな。