近くにあった椅子を蹴っ飛ばすと晴香が俺に近づいては孝介がどーたらこーたら言いやがる。


今はそれどころじゃねぇ。


アイツと目が合えば悲しい顔してすぐ反らして「帰る」って言う。



「本当に助けてほしかったら心の底から大声出して言えや。そうじゃなきゃ誰も助けに来ねぇぞ」



帰ろうとするアイツの背中に向かって言う。



「………何度も呼んだ。でも、助けてなんかくれなかった」



お前はバカか。


お前の周りにいる人間にじゃねぇよ。



「助けてくれるまで声枯れても叫び続けたらいいだろ。諦めたら終わりだぞ」



俺らに助け求めろよ。



そう言えば、アイツは「もう遅い」って言って店から出てった。