希美Side



まだ、小さかったあたしは嫌ってほど覚えてることがある。



それは父親の暴力。



仕事もしないで、家でゴロゴロして。



ムカつくことがあればお母さんを殴ってた。



その様子を声を殺して見てた。



父親がある日。



警察に捕まったのがきっかけで離婚。



「希美いい?男の人を簡単に信用しちゃダメよ」



そう言ってたお母さんが今度連れて来たのは、あたしと同い年の女の子と父親。




女の子の名前は千夏。



「希美ちゃん!」



千夏はいつだって笑顔で、あたしの名前を呼ぶ。




千夏の笑顔が好きであたしは「お姉ちゃん」って呼ぶようになった。