遠くにいたはずなのに。
たくさん、人が集まってて見えなかったはずなのに。
あの光景を見てたの?
「………っうん」
「お前は愛されてる。もっと自分を大切にしろ」
「うん」
泣き止まない私を抱き寄せたりせず、ただお兄ちゃんと同じぬくもりを持った手で私の手を握ってくれた。
暴走も夜中には終わり倉庫に帰る。
ほとんど人が帰る中、今だ泣き止まない私をリュウトは施設に送らず。
総長室にあるソファーに座らせ、目の前にはジュースが置かれる。
「泣き過ぎだ。干からびて死ぬぞ」
泣いたぐらいで干からびて死ぬか。
ジュースの蓋を開けて喉を潤す。