「大丈夫ですよー。」



いや、ぜんっぜん大丈夫じゃない。



動かせるところは動かして抵抗しているものの、熱で体力が奪われている上に成人男性の力には当然ながら勝てるはずがなく、あっけなく消毒まで終わってしまった。



「いやっ…!」



いくら嫌だと言っても願いは叶わず、針がすっと腕の皮膚を貫く。



その直後、フラッシュバックが私を襲った。



押さえつけられて無理矢理行われる処置。



目の前の大人に怯える自分。



誰も私の話を聞いてなんてくれない。



逃げることすら叶わない。



怖い、痛い、怖い。



だれか…



助けて…



子どもの頃の嫌な記憶が、脳内に断片的な映像として浮かぶ。