「だから席外してくれる?って言うわけにもいかなくてさ。もちろん研修医なら外させてたよ。梨央が本当に困ってるのなら、連絡してくれるはず、って勝手に期待しちゃったのもあったんだけど…」



こっちから連絡してあげればよかったね、僕もかなり意地張ってたよね、と真ちゃんが困ったように笑う。



「…本当にごめんね。」



なんて優しいのだろうか。



心が狭かったのは私の方だ。



知らなかったとはいえ、まさか、患者さんに嫉妬していたなんて…



「じゃあ、さっきもひとりで取り残されて悲しかったね?」



「…うん。」



「正直でよろしい。」



そう言うと共に真ちゃんがそっと抱き寄せてくれる。



ずっと求めていた温もりに包まれ、安心感で全身が満たされていく。