「いや、梨央が体調不良を隠すことも、ギリギリまで我慢して頑張ることも、診察が苦手なことも、僕はそういうことを全部知ってたはずなんだ。知ってて受け入れてたはずなのに…それなのに、君を試すようなことを…」



項垂れながら話す真ちゃんからは、後悔しているのだろうということが、ひしひしと伝わってくる。



「僕から手を差し伸べてあげれば良かっただけなのに…。槇田先生の治療を受け入れてる梨央をみた途端、気持ちが止まらなくなって…」



そっか…



真ちゃんが話してくれた内容は、いつの日か颯くんが私にくれたヒントの通りだった。



ただ、颯くんから聞くのと、本人から直接聞くのとでは、重みも理解度も全く違う。



私が真ちゃんの立場であっても、あの日の真ちゃんと同じようなことを言ってしまっていただろうな、と心の中で思った。



「あとになって、ようやく気付いたんだよ。あぁ、僕は槇田先生に嫉妬してたんだ…って。」



嫉妬…



颯くんも同じようなことを言っていたのを覚えている。